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漢方薬も積極的に用いています

当院では漢方薬(エキス製剤)の処方も積極的に行っておりますが、
患者さんの全身状態をみきわめて、どの漢方薬が効きやすいかを考えて処方しております。

 

漢方薬を症状だけで選んでもよい場合

漢方薬の一部は、体力や病状によらず、その症状であれば試してみるとよいものもあります。
ここではその一例をご紹介します。

こむら返りに「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」

まず「芍薬甘草湯」です。
こむら返りに効く、筋肉のけいれんや緊張を和らげるお薬です。
生薬がシャクヤクとカンゾウの2種しか入っておらず、お薬の効きが早いのが特徴です。
漢方薬の最大手「ツムラ」の売上で上位に入るお薬で、整形外科や内科での処方が多いです。

のどのつまり感に「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」

次は「半夏厚朴湯」です。
のどのつまり感、閉塞感、ひっかかる感じによく用いられるのですが、
これも患者さんの体力などによらず、この症状であれば一択で選んでもよいお薬です。
心因性、逆流性食道炎などが原因ですが、胃酸を抑えるお薬よりも効くことをしばしば経験します。

みずばなには「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」

「小青竜湯」は花粉症・かぜを問わず、ポタポタたれるほどの鼻水に即効性をもって効きます。
この薬も患者さんの体力によらず用いることができますが、鼻づまりにはあまり効きません。
たれるほどの水ばなに効きやすいです。私もよくお世話になるお薬です。
即効性はありますが、持続時間はあまり長くなく、抗アレルギー薬と併用することも多いです。

 

かぜのひき始めは「葛根湯(かっこんとう)」だけじゃない

一方、かぜのひき始めに用いるお薬ですと「葛根湯」が最も有名ですが、ほかにも
「麻黄湯(まおうとう)」「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」も
かぜのひき始めに用いるお薬として有名です。

これらは同じ目的で用いるのですが、
患者さんの体力や状態により、効きやすいことも効きにくいこともあるお薬たちです。
どれが効きやすそうかを医師が考える必要があるのです。

「葛根湯」「麻黄湯」は体力がある、暑がり、胃腸が丈夫、もともと元気のある方に合いやすいお薬です。
特に「麻黄湯」はインフルエンザなどの急性期にも用い、切れ味のよいお薬ですが、胃腸の弱い人がのむとムカムカすることがあります。

一方「麻黄附子細辛湯」はもともと虚弱体質で寒がり、といった方に合いやすいお薬です。
「ブシ」が体を温める作用を持っており、体を温めて楽にするというものです。

これを患者さんの状態を把握せずちぐはぐに処方すると効きにくい、ということになります。

ちなみに「PL顆粒」など西洋の風邪薬はもともと熱を下げるお薬が入っており、冷えの強い人に処方すると合いにくい可能性があると思われます。

 

更年期障害に用いる有名なお薬たち

女性の更年期障害に用いることで有名なお薬には「当帰芍薬散」「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」があります。
これらも患者さんの体力、そのときの体の状態で使い分けを必要とします。
同じ患者さんでも、状況によりお薬をかえた方がよい場合もあるということです。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

おおざっぱですが一言でいうと、虚弱で寒がりな人に効きやすいです。}
更年期障害の諸症状に効能がありますが、冷え、めまい、全身倦怠感などにも効果が期待できます。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

一言でいうと、体力が平均的・普通で「中間証」とよばれる方たちに適応です。
更年期障害の諸症状に加え、イライラにも効きやすいです。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

おおざっぱにいうと、体力があり暑がりな人に効きやすいです。
更年期障害の諸症状に加え、便秘にも効果が期待できます。

つまりは体力があり暑がりな人に「当帰芍薬散」を処方したり、虚弱で寒がりな人に「桂枝茯苓丸」を処方しても合わない可能性が高いのです。
ですが、もともと中間証の方が病気で体力が落ちていたりすると、以前は「加味逍遙散」が効いていたのに、今は「当帰芍薬散」が効くようになった、ということもありえます。

 

便秘に用いることのできる漢方はたくさんあります

胃腸関係もお薬がたくさんあります。


特に悩んでいる人が多い便秘には、実にたくさんお薬があります。
有名な漢方ですと「大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)」「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」「桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)」「大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)」「大建中湯(だいけんちゅうとう)」「麻子仁丸(ましにんがん)」「潤腸湯(じゅんちょうとう)」などがあります。
体力のあるなし、暑がり寒がり、腸を動かしたいのか便に水分を含ませたいのか、腸閉塞の予防に用いるか、おなかが冷えているかなどにより選択が変わります。

 

胃の不調に用いるお薬

胃の不調に対しては「茯苓飲(ぶくりょういん)」「安中散(あんちゅうさん)」「六君子湯(りっくんしとう)」などがあります。
胃のもたれ、つかえ感には「茯苓飲」が効きます。
キリキリとした胃の痛みには「安中散」が即効性をもって効きます。
やせ型で虚弱、寒がりな方の食欲不振、胃の不調には「六君子湯」が有効です。

 

まとめ

漢方薬の選択について少しご紹介をしました。
当院ではしばしば西洋薬と漢方薬を組み合わせて、患者さんの症状を早期に改善できるよう工夫しています。
お薬が飲みにくい、合わないようだ、ということであれば同じお薬にこだわらず、病状に合うものをお探しします。

院内には約30種の漢方薬を常備しており、院内にないものは処方せんで対応いたします。

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