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臨床経験23年の内科医が考察する、よい医者の見つけ方

医師によって治療、指導内容が異なる

先生によって言うことが違う
先生によって薬の内容が異なる

このようなことを、多くの方が経験されていると思います。

症状が複雑、典型的ではないなど、病気の診断が難しいことはしばしばあり、診断も医師によって異なることがあります。

もちろんこのようなことは、言われる患者側としては、迷いや不安、動揺、不信のもととなり、どうしてよいかわからなくなってしまうことと思います。

そもそも、誰が診ても診断や治療法がまったく同じになることのほうが、実は少ないのかもしれません。

消化器内科(おなかの内科)の分野でいえば、胃潰瘍(いかいよう)や胆石など、原因特定に必要な検査が行われれば、どの医師でも同じ診断・おおむね同じ治療方針になる病気も多々あります。

また、がん等多くの病気ではガイドラインといって、病気の進み具合や見つかったときの状態によってどう治療すべきか、という指針がまとめられています。

このような場合、処方されるお薬が多少異なったり、生活指導の内容が異なっていたりということはあっても、治療の大きな方向性は同じであることも多いのです。

しかし、大きな方向性が同じかどうかは、医師にはわかっても、一般の方にはわかりにくいものだと思います。

それは患者さんにとってみれば「先生によって言うことが違う」ということになってしまうのかもしれません。

医師が教えるいい医者の見つけ方

では、患者さんはどうすればよいのでしょうか?

「わからないことを素直に聞いてみる」ことです。

診察が混んでいるなど、時間的な制約もあるでしょうし、その医師の専門外である、など答えられないこともままあると思われますが、

質問をぶつけたときの医師の説明や対応に納得できるかどうか、それが「いい先生」「自分に合った医師」を探すコツです。

 

そもそも「いい医者」「名医」ってなんでしょう?

誰にとってもいい医者、誰にとっても名医って存在しません。

要は「あなたに合った先生」かどうかです。

 

中には「自分の言うとおりにお薬だけくれればいい。とにかく早い先生、待たなくていい病院がいい。」という人もいるでしょう。

今のあなたのニーズに合う先生を見つけることが重要なのです。

そのためには「相談がしやすい」「聞きたいことが聞ける」ことが最も大切です。

ちなみに私は、わからない時ははっきりわからないと言ってしまいますので、患者さんを困らせてしまうこともあります。

聞きたいことを尋ねる際に、押さえておくと医師の対応がよくなりやすいポイント

最大のポイントは

要点をまとめて、無用に時間を取らないようにする

これに尽きます。聞きたいことを一度の診察で全て聞こうとすると、ほかの患者さんの時間も奪ってしまう可能性があります。

また、初めての診察の時は予想以上に時間がかかるもので、診断も一度でつかないこともあります。

医師は受診される患者さん全員の期待や要望にできるだけ応えようとするものです。

混雑しているときは全てを一気に解決しようとせず、いくつかは次回に質問するなどのご配慮を頂けると多くの医師はありがたく思います。

いつもと明らかに様子が異なるなど、客観的に見てその診察で解決が必要なことであれば、多くの医師はその時に必要な対応をしてくれますから。

よい治療は、よい患者-医師関係から生まれる

さて、生活習慣病の代表である糖尿病の治療なども、医師によって対応が大きく異なることがある疾患だと思います。

それは、医師が考える治療の優先順位と、患者さんが考える治療の優先順位が食い違うからだと思います。

また、医師によっても治療の優先順位が異なる場合がしばしばあります。

生活習慣病は、生活習慣を変えることが、その後の治療を大きく左右します。これはおそらく全国共通の考え方です。

ですが頭ではわかっていても「生活習慣を改めなさい」といわれることは、患者さんからすれば、個性や人格を一部否定されているように感じるものです。

ですから、生活習慣の改善には大変ストレスがかかり、行動はなかなか変えられず、変えるのにも時間がかかることが多く、その継続も難しく、またずっと変えられないこともあるわけです。

患者さんが病気のことをどう考えているか、今の病状をどのようにとらえているか、がとても重要なのです。

いいかえると

患者さんの病気に対する考えや思いを、医師がどのように理解しているか
医師が考える優先順位を患者さんがどう理解し、感じているのか

で、治療効果が大きく変わるのです。

よい治療とは患者さん側の治療に対する理解と、医師の熟練度に加えて患者さん側の事情を理解する力の両方が必要なのです。

医者をかえた方がよい場合とは

最後に、こういう場合は医者をかえた方がよいかもしれない、というサインについて書いておきます。

・医師とよい人間関係が築けない、お互いに言葉が荒くなりやすい、合わない気がする

・「薬が合わない気がする」と言ったときに「そんなはずはない」と断言して医師が同じ薬を出し続ける

・明らかに病状が悪くなっているが、納得のいく説明や対応(病院へ紹介など)が得られない

このようなときは医者をかえるときだと思われます。

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